おたくブログ

アイドルと日常

RedVelvetと「アメリカン」と大量生産の少女たち

 

こんにちは。

今回は私の1番すきなガールズグループの一つ、Redvelvetについて書きたいと思います。

 

彼女たちは2014年8月、「happiness」という楽曲でアイリーン、スルギ、ウェンディ、ジョイの4人組でデビューしました。その後2015年3月新メンバーイェリを加え現在に至るまで5人組として活動しています。

 

Red Velvetというグループ名の由来は,

「強烈で魅惑的な色である赤(レッド)と、女性らしくて柔らかい感じのベルベットのイメージのように、色があり洗練された音楽とパフォーマンスで全世界を魅了する」(Wikipediaより)

だそうです。 

 

さてそのRedVelvetですが個人的に、最近はまだしもデビュー〜ICCくらいまでは全く見分けがつきませんでした。おそらくそういう人は私の他にも多いんじゃないでしょうか。

 

同じ髪型、同じメイク、同じ髪色、同じ服、正直アイドル一人一人の個性が必要とされてくるアイドルシーンでこれはアリなのか?とも思いました。

 

しかし私はその『没個性』こそがRedVelvetの1番の個性であり、また伝えたいことだと思うのです。

 

個人的にRedVelvetのカムバックの際のコンセプトは「1920〜60年代アメリカ」をモチーフとしていることが多いと感じています。一般的にアメリカにおけるこの約40年間は「パクス=アメリカーナ(アメリカの平和)」と呼ばれています。

 

ざっとこの時代のアメリカについて説明しますと、1914年から始まり4年間にも及んだ第一次世界大戦がようやく終結し、世界各国が戦争がもたらした多くの被害、またそれによる財政難に苦しむ中合衆国は参戦期間が短く国土が戦場になることもなく、また連合国に軍需物資を輸出したことによって大きく経済発展を遂げていました。

 

私たちが想像するいわゆる「アメリカン」なものもこの時代に多く誕生しており、例えばアメリカのマザーロードとも称されているルート66も1926年に誕生しました。他にはジャズ、映画などの大衆文化も大きく発展しディズニーアニメやチャップリンもこの頃登場しました。

また大量生産が始まったのも20年代であり、自動車王フォードが生み出した流れ作業による大量生産技術、月賦販売による消費者の購買意欲の向上等、アメリカは様々な要因により現代まで続く大量生産技術を生み出したのです。

 

 

 

アメリカに端を発する現代資本主義と大量生産。私はRedVelvetはあえて「アメリカン」という皮をかぶりそれを皮肉っている気がするのです。

 

 

 

例えば2015年の楽曲DumbDumbを例にとってみたいと思います。


Red Velvet 레드벨벳_Dumb Dumb_Music Video

 

主な舞台は少女たちのロボット(?)を大量生産している工場、もしくは人間がまるで機械のように働くオフィスです。

同じ服、同じ髪型で踊るロボットの少女たちに個はありません。

また衣装もなんとなくアメリカンな気がします。

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個人的にウェンディーズハンバーガーっぽいなと思いました。1929年にアメリカで誕生したハンバーガー店です。

 

また、同じく2015年のIce cream cake

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この作品のミュージックビデオは実際にアメリカ、カリフォルニアまで出向いて撮影されました。

この撮影地が具体的にカリフォルニアの何処なのかはわからなかったのですが、カリフォルニアはかつて、先ほども述べたルート66が通っていたので古き良きアメリカの文化が色濃く残っている場所です。映像内に登場する道路ももしかしたら本物のルート66かもしれません。

ぜひルート66で画像検索してみてください。めっちゃICCです。 

 

 またICCのアルバムの収録曲、Automaticも非常に60年代的です。

 

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↑60年代活躍した女優のブリジット・バルドーです。彼女はフランスの女優ですが参考として載せてます。

 

この二作品も共通して衣装髪型髪色が似通っておりMV内の彼女達の個を認識できるような描写はありません。

 

 

またデビュー曲「Happiness」はコンセプトとしてアメリカを感じることはありませんが 例のごとく没個性です。前知識なしに見分けられたら偉業だと思います。

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また歌詞の中で

 

이런 Money 저런 Power
こんな Money あんな Power
  

그것만 따 따 따 따라가다
こんなものばかり追いかけて

 

어른들이 짠해 보여
大人たちは胸が痛そう


그들은 정말 행복하지 않아
彼らは本当に幸せじゃないの

 

とあります。権力や富に執着する現代人への皮肉でしょうか。

 

また最近だと2016年の「RussianRoulette」ではこれまた60年代欧米風のコスチュームに身を包んだ無表情の少女たちが殺し合うという衝撃的なMVを公開したりしてます。またこのMV内には1930年代に米国で流行したカートゥーン風のアニメが挿入されています。

2017年「Rookie」でもICCやDumbDumb程わかりやすくはないもののティーザーイメージで何人もの彼女たちが「大量生産」されています。

 

長くなりましたが近年KPOPでは一人一人の個性が際立っており、ミニスカートの制服を着て、ありふれた恋愛を歌う清純で可愛らしい女性アイドルがそれこそ大量生産されています。最近では宇宙少女が宇宙らしさを捨ててチアガール(?)になっていました。

 

RedVelvetも可愛らしい服で恋を歌うという面では同じなのかもしれません。

しかし彼女たちの楽曲の中に男性への「媚び」は一切感じられません。好きな人を手に入れるなら殺しだってします。

 

アメリカンな大量生産の皮をかぶり、大量生産の現代社会を痛烈なまでに皮肉り、実は誰よりもヘンテコで個性的な彼女たちはまた、枠に収まることなんてないよ、と少女たちに投げかけているようにも思えます。これこそが彼女たちの女性からの支持率の高さの要因であり、また男性ファンの立ち入りにくさの原因でしょう。

 

女の子の、女の子による、女の子のためのアイドルRedVelvet。

 

彼女たちは7月9日に新曲を出すに先立ち先日ティーザーを公開しましたがここでも今までのようにレトロポップな衣装に身を包んでいます。そこに笑顔はありません。

またデビュー3年目でようやく初の単独コンサートの開催も決定したようで、ファンにとっては今までで一番暑い夏になりそうです。

 

初期に比べて没個性を強調することも少なくなり、個人仕事やバラエティなどでそれぞれ活躍することも増えてきて、このまま大衆に寄せてしまうのかと思いきや独自の路線を進み続けるRedVelvet。彼女たちがこの先どのように大衆を皮肉るか、今から非常に楽しみです。

 

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参考文献

全国歴史教育研究協議会編「世界史用語集」山川出版 2014年